~春季号~ ジェンダーフリー
2021年04月01日
法政大学の田中優子第19代総長が3月末の学位授与式(卒業式)で告辞した。
「…男性も女性もそれぞれの役割を果たすことで、自分自身のみならず、家族、友人、そして社会全体に影響を与えます。自分の生活の安定だけを追求するのか、それとも、ともに生きる人たちや、仕事の背後にいる、多くの人々に対する想像力と共感をもって働くのか、それによって社会は違っていきます。…男女の大きなギャップが以前からあり、このコロナ禍でそれがはっきり見えるようになったのです。社会の格差は男女の区別なく大きくなっています。しかしとりわけ女性の中に、その格差のもたらす貧困が広がっているのです…。人間としての尊厳をもって生きていかれる社会が必要です。自由を生き抜くとは、自分自身の自由を大切にするだけでなく、どんな人にも自由を生き抜ける社会を作ることなのです」
そして、どの道を歩むべきか、迷ったときは、
「人の薦めで選択するのではなく、自分で決めることが、自由を生き抜く上ではとても大切です。その決断が、どんな人も自由を生き抜ける社会を作ることにつながる道であることを、私は心から望んでいます」
と呼びかけた。
大いにうなずくとともに、アメリカ副大統領、カマラ・ハリスの就任式スピーチを思い出した。
「私は初の女性副大統領であるかもしれませんが、私で最後ではありません。なぜなら今夜の光景を見ている全ての少女たちが、アメリカが可能性に溢れた国であるということを知るからです。そしてアメリカは我々の国の子どもたちへ、そのジェンダーに関わらず、明確なメッセージを送っています。野心を持って夢を見てください。確信を持って導いてください。そして、単に他の人が見たことがないという理由によってだけでなく、私たちはあらゆる段階においてもあなたを称賛しているということを知っているような方法で自分自身を見てください」
それぞれ自らの能力を活かし、自由に行動し個性が尊重される生活を望むなら、私たちはこの不合理な社会構造を変えなければならない。私たちは変わらなければならない。
(完)
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