四君子
2014年04月25日
桜が散り、シャクナゲやツツジやカーネーション の季節となりました。 四季の美しい我が日本では、季節の移ろいを彩る 植物も豊富で、風雅な趣を感じさせます。 ところでお隣の国・中国では「四君子」、つまり、 梅、蘭、竹、菊が昔から親しまれています。 古今の文人の詩にも詠まれた四君子は、品格ある 植物としても有名ですが、これには「天人合一」と いう中国の世界観が存在しています。 それは自然と人間とは密接な関係があり、互いに 影響を与え合う存在であり、当然のこととして植物 も人間のような性格や人徳を持つと考えられたためです。 では、梅、蘭、竹、菊にどのような品格が与えられているのでしょうか。
『冬の梅』-寒さの厳しい冬でも凛々しく開花し、年の始まりに堂々と立ち上がる、清らかで高潔の象徴。
『春の蘭』-俗世を離れた幽谷であってもひっそり開花し、誰もいなくても、香りを放って存在感を示す、孤高で優雅の象徴。
『夏の竹』-青々としてまっすぐ伸びて、一年中緑を保ち、活気にあふれています。正義感あふれた、さっぱりした人間性の不屈の象徴。
『秋の菊』-葉が落ちて花がしぼみだす秋に、寒気の中で霜に打たれても咲き続ける生命観にあふれた、潔白で清廉の象徴。
かの孔子は、人間の品格は凡人、士人、君子、賢者、聖人の5つに分けることができると説きましたが、これらの中でも、賢者と聖人は極めて得難いものです。このため、趣を求める多くの文人たちは、態度が穏やかで立ち居振る舞いが上品である君子の品格、つまり学識、人格ともにすぐれた、道徳的に立派な人物を目指していました。 「梅の高潔」「蘭の優雅」「竹の不屈」「菊の清廉」は「悲しみながらも節度を失わない。楽しみながらも放埓することはない」という文人のめざす品格の世界を表現しており、したがってこれまでたくさんの詩に詠まれてきたのでしょう。 さあ、あらためて君子の品格を保つべく、今日から私たちも精進しましょう。
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