芸術鑑賞会 鹿児島実業高等学校のみなさん、ありがとう!
2021年10月30日
10月28日(木)は鹿児島実業高等学校の芸術鑑賞会でした。
会場は同校体育館。
演目は、一般公演を除いて県内の芸術鑑賞では初めての公演となる「チングドゥル(親舊達)・コンサート」でした。
チングドゥル(親舊達)のチングとは韓国語で“ともだち”という意味。
日本と韓国が仲良くし、ともに発展しましょうという願いが込められている。
コンサートでは韓国のチャンゴ(杖鼓)やケンガリ(鉦)が鳴り響き、日本の和太鼓や篠笛がそれに応えた。
韓国女性の美しい舞姿や劇団四季で鍛えたミュージカルシンガーの実力が華を添えた。
鹿児島実業高等学校は文武両道に秀でた名門校として全国的にも有名。
学業はもちろん、サッカー、野球、新体操、剣道、柔道、ラグビー、陸上部、吹奏楽部などの強豪校として名をはせています。
同校の校訓は『不屈不僥』。
小高い丘の上に立つ同校から前面に眺望できる桜島の雄姿を眺めながら、多くのよかにせやよかおごじょが育ったことでしょうか。
全日制1300人が学ぶこの名門・鹿児島実業高等学校(通称は鹿実)に、前日から仕込み作業で私たちは乗り込みました。
実は鹿実での公演はこれが初めてではありません。
過去に中国文化芸術夢公演をはじめアジアン芸術夢公演など何度もご採用いただき、その都度、私たちは当時の生徒のみなさんと感動を新たにしてきました。
しかし今回は違います。
そうです。
新型コロナウイルス禍でもう大変。
生徒たちの安全を図り、生徒たちの心の動揺を鎮め、授業時間の確保と部活動の継続をいかに両立させるか、それはもう先生方は大変でした。
そんな中、ご担当のY先生は、
「最大限の注意を払って生徒の安心安全を確保しつつ生徒たちのために芸術鑑賞は続けてあげたい」
と、一貫した信念をお持ちの方でした。
前から感じていたのですが、Y先生はまるで薩摩武士。
鹿児島方言で「ぼっけもん」というのかな(失礼?だったらゴメンナサイ)、Y先生は薩摩武士の勇敢さ、豪快さを持ちつつ、『議を言うな(つべこべ言うな)』といいそうな威厳を醸しながら、不言実行を善とする、どちらかといえば無愛想で照れ屋にみえる方だが、本心は柔和で思いやりにあふれた先生であると思っていたのは正解だった。
Y先生とは旧知であることもあり、電話でのやりとりが主だったが、まるで幕末の偉人・西郷隆盛を前にして無謀にも持論を訴えるような、独断浅学な私たちを、Y先生はあざ笑うまでもなく、遠ざけるまでもなく、提案を言葉少なく泰然となさりながらも真摯に受け止めてくださった。
「一般公演を除き芸術鑑賞では実績がありません。なんと鹿児島が、鹿実が、初めての提案となります。」
「日韓の志あるアーティストが集合した、まったく新しいコンセプトの国際伝統芸能公演です。」
「これからの日本にとって、昔も、今も、韓国、中国との交流は避けて通れないのですから…。」
「ともすれば、政治、経済、外交問題で軋轢を生み、近くて遠い存在になりがちな日韓を、文化、芸術の面から生徒たちには理解し、お互いを尊重する機会を作ってあげたいのです。」
時は流れ、紆余曲折を経て、Y先生がゴーサインを出してくださったのはなんと9月末。
つまり公演1か月前だった。
コロナ禍の真っただ中、いろいろと開催をめぐり悩み苦しまれたことでしょう。
しかしY先生はそんなことはおくびにも出さず、
「ガムさん、10月28日(木)1日3回公演。つまり学科ごとの3回公演をお願いできますか?」
と電話口でおっしゃった。
こうして日韓遊合芸能(融合の融をあえて遊としています)チングドゥル(親舊達)は鹿児島の名門・鹿児島実業高等学校に初登場したのである。
チングドゥル(親舊達)のコンセプトは相互理解と友情。
日本と韓国が仲良くし、ともに発展しましょうという願いが込められている。
コンサートでは韓国のチャンゴ(杖鼓)やケンガリ(鉦)が鳴り響き、日本の和太鼓や篠笛がそれに応えた。
韓国女性の美しい舞姿や劇団四季で鍛えたミュージカルシンガーの実力が華を添えた。
この公演のコンセプトである、舞い・『潮流』では、韓国女性が渾身の踊りで心情を表現し、信頼する女性司会者は、この踊りの紹介を感情込めて、こんなナレーションでサポートした。 「県内は東シナ海、太平洋という雄大な海に囲まれていますが、縦に長い日本列島、日本と韓国の間には母なる日本海があります。この海の潮の流れは、北から南へ、南から北へ、まさに自由自在。鳥だって自由に大空を往来しているのに、どうして……。国に国境はあっても、人の心に国境はないはずなのに…。 故郷を想い、家族を想い、ともだちを想い、いま静かに、そして心は熱く、そんな想いを踊りにしてみました。舞踊家・チョ・ヘミ(趙恵美)さんは言います。 『差別や争いのない社会がすてき。平和のドアをご一緒に開けましょう。』 こんなに近い日本と韓国。日本の西と韓国の東に横たわる日本海に抱かれて、いにしえの時代より、日本と韓国は文化でつながり、芸術でつながっていました。それを支えたのはお互いの友情。それを育んだのはお互いを理解し、尊重する心。自由な潮の流れは、今日も日本海を滔々と自在に流れています…。」 |
ラストでは、アリラン&ソーランペンノレ+ヨルトバルをもってきた。
これは韓国の民歌・アリラン&日本の舟歌・ソーラン節と、朝鮮半島の舟歌・ペンノレの融合。
日本のソーラン節の「どっこいしょ、どっこいしょ」と、韓国の「オーギーヨッチャ、オーギーヨッチャ」の掛け合いを、会場の生徒のみなさんと一緒に楽しく唱和。
大きな盛り上がりをみせた。
結局、日本と韓国は地理的にも心情的にも近いお隣さん同士。
お互いが近くて遠い存在にならないよう、若者たちが交流することで新時代を築いてゆきたい。
鹿実の生徒のみなさんがそう思ってくれたなら本望です。
いや生徒のみなさんは受け留めてくれたに違いない。
公演後、鹿実から遠望できる雄大な桜島を背景に記念写真を撮りながら、礼儀正しい生徒のみなさんと交流しつつそう確信した。
だってもう私たちはチングドゥル=ともだち、なんですから。
楽しかった鹿児島実業高等学校芸術鑑賞会。
このような機会を設けてくださったご担当のY先生をはじめ、多くの先生方、保護者の方々に心から御礼申し上げます。
そしてありがとう、ほんとうにありがとう鹿児島実業高等学校のみなさん!
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生徒のみなさんの率直なご意見を教科書に、私たちも日々勉強しますから。
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この道一筋、まっすぐ、雅夢(がむ)しゃらに。
それではまたお会いしましょう。
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