~秋季号~ 「英語教育が国を滅ぼす!」
2020年10月01日
2020年10月1日
「英語教育が国を滅ぼす!」
何ともセンセーショナルなタイトルだが、唱えるのは藤原正彦氏。
かの「国家の品格」を著した作家・数学者である。氏のユニークだが深くうなづける持論に
「幼いころから英語を学び米英人に教えられることは、単なる語学を超え、米英的発想、態度、文化を無垢な子供心に刻印することになる。
それは子どもたちが日本の文化、伝統、情緒、道徳の良さに触れる機会を減少させ、日本人としてのアイデンティティー形成の妨げとなる。
小学校ではまず自国の文化、芸術、文学などに触れ、自国への自信と誇りを身につけることが先決であり肝要である。」
また氏はこうも述べる。以下転載する。
「経済界、政府がグローバル人材を強調する理由は、英語が話せないと国際競争に負けてしまうというものだ。
本当にそうなのか。
世界で一番英語がうまいのはイギリス人だ。
なのにイギリスは、ほぼ二十世紀をとおして経済的に斜陽だった。
英語が一番下手な日本人は、その間に最も大きい経済成長を遂げた。
世界一英語が下手、は誇張ではない。
2017年のTOEFL(アメリカの教育試験サービスが主催している英語のテスト)の結果を見ると、日本はOECD加盟先進国36か国中の圧倒的ビリ、アジア29か国中の26位、スピーキングに関してはなんと全170か国中のビリだ。
日本人は英語に関してはまったく無能と言ってよいのである。
この英語無能国民が、世界3位のGDPを誇り、自然科学でノーベル賞を24名も獲得している。
今世紀に入ってからはアメリカに次いで世界第2位だ。
こう考えると、むしろ日本こそは、国民の英語力が一国の経済力や知的生産力に無関係、という驚くべき事実を体現しているのである。
経済界や政府は一体いつまでグローバル人材育成という愚論にしがみついているのだろうか。」
氏の実証的持論はとても興味深い。
以下はウキィによる氏の紹介。
著作を一読されることをお勧めする。
藤原正彦:1943(昭和18)年、旧満州新京生れ。
東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。
お茶の水女子大学名誉教授。
1978年、数学者の視点から眺めた清新な留学記『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、ユーモアと知性に根ざした独自の随筆スタイルを確立する。
著書に『遥かなるケンブリッジ』『父の威厳 数学者の意地』『心は孤独な数学者』『国家の品格』『この国のけじめ』『名著講義』(文藝春秋読者賞受賞)『ヒコベエ』『日本人の誇り』『孤愁 サウダーデ』(新田次郎との共著、ロドリゲス通事賞受賞)『日本人の矜持』『藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩』『国家と教養』等。
故・新田次郎と藤原ていの次男。
コメントを残す