2014年05月19日
リバイバルのイタリア映画「ひまわり」を、またあらためてじっくり視た。
ひまわりは、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの主演、ヴィットリオ・デ・シーカ監督による不朽の名作である。日本での公開は1970年9月。
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「貧しいお針子のジョバンナ(S・ロ
ーレン)と電気技師のアントニオ(M
・マストロヤンニ)は、美しいナポリ
の海岸で出逢い、恋におちた。
結婚式をあげた二人だったが、夫は招
集され酷寒のソ連戦線へ。

やがて厳寒の地で倒れたアントニオは
ソ連娘・マーシャに助けられた。
年月は過ぎ、夫の行方不明を信じきれ
ないジョバンナは、最後にアントニオ
に会ったという復員兵の話を聞き、ソ
連へ出かける決意を固めた。
異国の地モスクワにおりたった彼女は
アントニオを探しつづけた。そして何
日目かに、一人の清楚な女性に声をか
けた。この女性こそ今はアントニオと
結婚し、子供までもうけたマーシャで
あった。すべてを察したジョバンナは、
引き裂かれるような衝撃を受けて、よろめく足どりのまま、ひとり駅へ向った。
逃げるように汽車にとびのった彼女だったが、それを仕事から戻ったアントニオが偶然見てしまった。
ミラノに戻ったジョバンナは、傷心の幾月かを過したが、ある嵐の夜、アントニオから電話を受けた。彼もあの日以後、落ち着きを失った生活の中で、苦しみぬき、いま優しいマーシャのはからいでイタリアにやってきたのだった。
迷ったあげく、二人はついに再会した。しかし、二人の感情のすれ違いは、どうしようもなかった。そして、ジョバンナに、現在の夫エトレの話と、二人の間に出来た赤ん坊を見せられたアントニオは、別離の時が来たことを知る。
翌日、モスクワ行の汽車にのるアントニオを、ジョバンナは見送りに来た。万感の思いを胸に、去って行く彼を見おくるこのホームは、何年か前に、やはり彼女が戦場へおもむく若き夫・アントニオを見送った、そのホームだった。」
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二度と会うことはない永遠の別れ、戦争によって引き裂かれた夫婦の悲恋物語を、ヘンリー・マンシーニによる情感豊かな音楽が映像を包み涙を誘った名作である。
ただ、もし、別離の汽車から、アントニオが飛び降りていたら、ただ、もし別離の汽車に、ジョバンナが飛び乗っていたら、その後の二人の展開はどう変わっていただろうか。過去に後戻りできない現実があるとわかっていても、“もし”はないとわかっていても、そう思わせる映画である。
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