~夏季号~ 平塚らいてう
2020年07月01日
2020年07月01日
「元始女性は太陽であった」。
~自ら生き、自ら輝やいていた真正の人である。
しかし今の女性は月である。
他に依って生き、他の光によって輝く、病人のような青白い顔の月である~、と続く。
女性解放運動の先駆者として知られる作家、平塚らいてうが、雑誌『青鞜』の出発にあたって、創刊号に寄せた1911年発刊の辞。
いまから109年前のことである。
色濃く残る家長制度による差別、女性の地位の低さ、もちろん選挙権なんてありません。
今の女性は自分の力で生きていないとして女性の解放を説き、男性の無理解、横暴さ、暴力に耐えるだけでなく、立ち上がろう、男女に格差はない、人間は平等でなければならないとして、女性の政治的・社会的自由の確立のために尽力したのである。
そこには一切の暴力を否定し、浄化する女性の無限な包容力が満ちあふれている。
では109年経って、変わったのか?確かに変わった部分はある。
だがしかし、本質はどうだろうか。
たとえば社会の先端を走る、政治経済の分野で女性のパイは増えているのだろうか。
まだまだ男性優位の社会。
男性の論理が優先する社会だと思うのだが、それがこの頃、音を立てて崩れているようにも思える。
近年、たとえば政府首脳による、公文書の改ざん、隠蔽、勝手な法解釈。
北朝鮮拉致問題の無策、笑えない茶番劇ではカルロス・ゴーン被告の密出国などもあった。
果ては新型コロナウイルス対策における後手につぐ後手。
いやはや枚挙にいとまがない。
新型コロナといえば、世界各国首脳が対応に苦闘する中、アイスランド、台湾、ドイツ、ニュージーランド、フィンランド、ノルウェー、デンマークなどは卓越した指導者の下、この難関を乗り越えた。
すべて女性のリーダー達がこの危機に素晴らしいリーダーシップを発揮したのだ。
男どもよ恥を知れ、とは、彼女たちは言わないが、男性社会の限界を見せつけたのは間違いないだろう。
土壇場で男はうろたえるが女はどんと構えて強いのである。
私たちが人生で究極に求めるのは、平塚らいてうも託した「希望と夢」。
これに尽きる。
その実現は女性にお願いしたほうが早いかもしれない。
(完)