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~秋季号~       坂村真民先生

2015年10月01日

過日、念願だった愛媛県の砥部町にある坂村真民記念館を訪ね ることが出来た。

坂村真民(さかむら しんみん)先生は、1909年1月6日 生まれ、2006年12月11日に97歳の長寿で他界した 詩人である。

坂村先生は熊本県荒尾市出身。25歳で朝鮮にわたり、戦後は 愛媛県に引き上げ、高校の国語教師として教鞭をとりつつ詩作 に従事した方だ。 先生の作品で有名な「念ずれば花開く」をはじめ、筆者は以下 の3作品も好きだ。掲載させていただこう。

 

『念ずれば花開く』

 

念ずれば花開く 苦しいとき 母がいつも口にしていた

このことばを、私もいつの頃からか、唱えるようになった

そうしてそのたび私の花が不思議と ひとつ ひとつ

開いていった

 

『タンポポ魂』


踏みにじられても 食いちぎられても 食いちぎられても

死にもしない枯れもしない その根強さ そしてつねに

太陽に向かって咲く その明るさ 私はそれを 私の魂とする

 

『二度とない人生だから』


二度とない人生だから

一輪の花にも無限の愛をそそいでゆこう

一羽の鳥の声にも無心の耳をかたむけてゆこう

二度とない人生だから

一匹のこおろぎでも踏み殺さないように心してゆこう

どんなにかよろこぶことだろう

二度とない人生だから

一ぺんでも多く便りをしよう

返事は必ず書くことにしよう

二度とない人生だから

まず一番身近な者たちにできるだけのことをしよう

貧しいけれどこころ豊かに接してゆこう

二度とない人生だから

露草の露にもめぐりあいの不思議を思い

足をとどめてみつめてゆこう

二度とない人生だから

のぼる日 しずむ日 まるい日 かけてゆく月

四季をそれぞれの星々の光にふれて

わが心をあらいきよめてゆこう

二度とない人生だから

戦争のない世の実現に努力し

そういう詩を一編でも多く作ってゆこう

わたしが死んだら

後を継いでくれる若い人のために

この大願を書きつづけてゆこう

 

『花』

 

花には散ったあとの悲しみはない ただ一途に咲いた喜びだけが残るのだ

坂村先生の詩は心にしみる、まさに名言といえる。語り口は穏やかだが、復唱してゆくうちにその言葉は、時として刃となり、グサリと心に響く。ランダムに掲載させていただき筆を擱こう。

 

 

・雑魚は雑魚なりに、大海を泳ぎ 我は我なりに、大地を歩く。

・木が美しいのは、自分の力で立っているからだ。

・大切なのは、かつてでもなく、これからでもない。一呼吸、一呼吸の今である。

・天才には、そう誰にでもなれないが、本物には、努力次第でなれる。

・最高の人というのは、この世の生を、精いっぱい、力いっぱい、命いっぱい、生きた人。

・一番恐ろしいのは、自己との妥協だ。

・人間いつかは終わりがくる。前進しながら 終わるのだ。

 

(完)M・F

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