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江河水

2017年08月28日

中国の民族楽器二胡の名曲に「江河水」がある。

やや難解な曲だが、この曲誕生の背景を理解して聴くと、グッと心に迫るものがある。

今秋からの芸術鑑賞でこの曲を採り入れることにした。

演奏家に意図を説明したら俄然やる気を出した。

ただし高校生相手に無謀だよ。

曲の理解ができないよと囁く向きもあるが、百人のうちの一人でもよい。

心に響いたら嬉しいのだ。

その手助けもかねて演奏時には曲の解説をテロップで流す。

思いを伝えたいのである。

 

江河水は、中国東北部の特徴に富むメロディーを用い、諸悪がはびこる旧社会にあっても、仲睦まじく暮らす一組の夫婦を描いている。

ある日、夫は無実の罪で捕らえられ、労役を強要され、虐待を受けて異郷の地で死んでしまう。

報せを聞いた妻は、悲しみ、憤り、愛する夫の後を追って命を絶とうと思いつめ、河辺で夫を送る葬儀の際、滔々たる河の流れを前に、声を張り上げて泣き叫び、血と涙をもって、旧社会統治の大罪と理不尽さ訴えるのだった…。

この曲は三部構成で、妻が夫の訃報に接し嘆き悲しむ 場面から、夫と二人で仲睦まじく過ごした頃を回想す る場面を経て、再び現実に引き戻され、悲しみ、憤る ものの最後はなすすべもなく河辺を離れ、その痛々し い面影が、夜の闇の中に消えていくところで終わる。

 

この「江河水」の作曲家は黄海懐(こうかいかい)。

彼は1962年27歳で、この二胡独奏曲「江河水」 を発表。

その後中国の音楽事業の発展に身を捧げたものの、 1967年、文化大革命により無実の罪を被せられ、 その5年後わずか32歳でこの世を去った。

日本の指揮者・小澤征爾はこの曲に接して、

「人間の 哀切を奏で、聴く者の胸を突き破るほど」

だといい、 感極まって慟哭したという逸話を残している。

 

中国二胡の十大名曲の一つといわれる江河水。

この曲は、どんなに激動と暗黒の時代であっても、時の権力の驕りや理不尽さに人々は抵抗するし、その人々が守り抜く男女の愛の心は崇高で変わらないことを訴えたのである。

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