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芸術鑑賞・二胡の名曲・二泉映月(にせんえいげつ)

2014年07月18日

中国民族楽器・二胡の十大名曲に「二泉映月」があります。

 

「二泉映月の作曲家、演奏家は阿炳(あびん)という。 彼は1893年中国江蘇省無錫に生まれた。母親を亡くし た4歳の頃から聡明な阿炳はよく民族楽器の勉学をした。 20歳の時父親を亡くした。21歳で眼を患い、35歳の頃 両眼を失明した。折からの社会不安で無一文の阿炳は街頭で 芸人として暮らすようになった。

 

眼が見えない阿炳は民族楽器演奏の際、それまでの苦しい 生活体験から、自分が心で感じたことに素直に溶け込み、 それを手にする楽器でありのままに表現するようになった。 阿炳のその音色は道端を行き交う人々の足をしばし止めた。

 

1950年夏、北京の高名な大学教授二人が、舶来の録音機 を持って無錫を訪れ、阿炳の曲を録音した。直後に発表され た収録曲はたちまち全国に広まり、聴く人々の心に深い、深 い感動を誘った。翌年再び二人の教授が無錫を訪ねた時、 いろいろな世の移り変わりを体験した、このたぐいまれな盲目の天才芸人は、もはやこの世を去っていた。

 

二泉映月は阿炳の代表的作品である。阿炳は自らこの曲を「心の曲」と称した。 作品は、流ちょうなメロディー、抑揚あり、起伏あり、奥深いムードからできている。阿炳は二胡の音域を最大限に引き出し、力強い弓の弾き方に合わせて、 むせぶように、すすり泣くように、怒鳴るように、悲しむように、やり場のない心境と、無限の光と、夢への憧れを表現した。

 

二泉映月。”二つの泉に映る月“。無錫・惠山泉のほとりに立ち、見えない眼で視た一遍の風情は、時には広大な大陸の自然を思い、今は亡き両親を、懐かしい友人を、淡い初恋の人を思い出させたであろう。 阿炳の音楽。それは不遇なわが身と流浪生活の苦難を支えた。それはひたすらに民族の息吹を伝え、守り通した阿炳の強烈な芸術的生命力の表れだったのである…。」

 

 

この文章は、弊社主宰の「二胡名曲講座」から抜粋した二泉映月の解説文です。

 

昨日ご紹介した江河水といい、この二泉映月といい、曲の背景や内容を理解すると名曲が深く心にしみてきます。とくに二胡という楽器は、人間の声にもっとも近いといわれる哀愁の音色だからなおさらですね。 中国人も日本人も好きだという二胡の音色は、CMのBGMにもよく使われており実にいいですね。

 

たった2本の弦をこすりながら醸し出す叙情の世界に、心安らぎ、うっとりする方も多いのではないでしょうか。

 

ところで一念発起して二胡を学びたいと思われる方は弊社までご連絡ください。すばらしい二胡演奏の名手をご紹介しますよ。

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