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芸術鑑賞会・首里高等学校のみなさん、ありがとう!

2017年10月17日

10月13日(金)は沖縄県立首里高等学校の芸術鑑賞公演でした。

世界遺産・首里城と並んで那覇の街を見下ろす首里の高台に建っている首里高校は、琉球国王・尚温王が創立した「国学」がその前身。

尚温王の理念は、門閥を排し広く優秀な人材を登用することにあり、その事は「海邦養秀(海に囲まれた国から優秀な人材を輩出する)」という言葉に託されていて、今でも建学の精神として受け継がれています。

 

首里高校は、前身となる国学の頃から数えると200年以上の歴史を持ち、創建以来130年、県内最古の歴史を持つ名門伝統校として有名です。

また同校は普通科以外に、沖縄の伝統工芸である紅型や首里織などの後継者を育成する染織デザイン科も併設しています。

伝統を継承しながら、自分なりに考え・工夫し、新たなものを創り出していく喜びを生徒のみなさんは感じているのです。

なお沖縄県代表として初めて甲子園に出場したのも、初めて1勝を挙げたのも首里高校でした。

甲子園といえばこんな逸話があります。

1958年(昭和33年)、戦後初めて全国高等学校野球選手権大会の沖縄代表として首里高校は出場しました。

これは第40回の記念大会として特別に当時の日本の都道府県とともにアメリカ統治下にあった沖縄県の予選大会が開かれ、そこで優勝した首里高校が甲子園への出場権を獲得したものです。

1回戦で敗れましたが、試合終了後に拾った甲子園の土が、当時は日本国とは別国家であった琉球政府(事実上は米軍の軍政)の検疫の問題で持ち帰れず那覇港で処分されたことが大きく報道されたのです。

それを知った日本航空のCAが甲子園球場周辺の海岸の石を拾い集めて首里高校に寄贈しました。

現在この石は首里高校の敷地内にある「友愛の碑」というモニュメントに埋め込まれており、戦後沖縄からの初出場の記念として飾られているのです。

 

ところで昨年初めて首里高校を訪れ、当時ご担当だったI先生と親しくお話しさせていただいた記憶が鮮明にあります。

商談もそこそこに、沖縄の文化、芸術から、風土、生活様式に至るまでI先生とは話が弾みました。

I先生は決して能弁な方ではないのですが、おっしゃる言葉の一つひとつに重みがあり、同じ日本人として勉強不足を深く感じました。

とくにさりげなく語られた「沖縄をこれ以上弄ばないでほしい」という言葉は、心に刻み込みました。

沖縄をこれ以上弄ばないでほしいという言葉には、だれが、という主語がありません。

広島の原爆慰霊碑にある「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と同じように、だれがという主語がないのです。

それは日本やアメリカなど単に一国一民族ではなく、人類全体、全世界の人々に向けたメッセージだったからと思うのです。

もちろんそのメッセージとは、過ちは二度と繰り返すなと願う「平和の誓い」です。

 

さて、首里高校芸術鑑賞会の作品は「アジアン芸術夢公演」。

テーマはずばり「異文化の理解と尊重、求めるのは平和」。

会場は同校3Fにある体育館でした。

前日から当日にかけて仕込みを終えた私たちはリハーサルを済ませて生徒のみなさんの入館をお待ちしました。

やがて開演。

オープニングはオールキャストで演奏する「まつり」、「ダンシングバード」。

そして韓国の「ソルチャングゥ」と続き、ネパールの「タマン」を終えて次の曲、ネパール・パンチャラマさん作曲の「波(sea weve)」に入りました。

この曲にはエピソードがあります。

 

2001年9月11日。

アメリカで同時多発テロが発生、この事件は世界中を震撼させました。

当時東京にいたアメリカ人の音楽プロデューサーが帰国の際、日本で耳にしたパンチャラマさん作曲の「波(sea weve)」のCDを持ち帰り、ラジオで流しました。

混乱と錯綜の中で呆然とした多くのアメリカ人にとってこの曲は安らぎとなったのです。

涙ながらに称賛するリスナーが多かったと聞いています。

この曲は、海のないネパールで生まれ、初めて海を見た時の感動、不思議なリズムを刻む波の音を表現しています。

「一発の銃弾より、1曲の音楽を。私たち人間はみな母なる海に抱かれているんだよ」。

首里高校の生徒のみなさんは真剣なまなざしでこの曲を受け留めてくれました。

公演の合間に繰り出すネパールの子どもたちの映像。

世界の差貧国に暮らす子どもたちの屈託のない明るい笑顔とそびえたつヒマラヤ山脈…。

一方では、先進国の象徴である高い巨大なビル群、空中を無数に走るハイウェイ、ゴージャスな服装と贅を尽くした食事、溢れかえる金銀財宝、毎日どこかで人が争っている世界…。

「豊かさって何だろう?」

首里高校の生徒のみなさんは自問自答してくれました。

もちろん、「エキサイティングコリア」や「ホーミー教室」、そしてラストの「ランバダパーティーでは、生徒のみなさんから歓迎の”踊り”をいただきましたよ。

形や手法なんてないんだ。

あくまで自由に、楽しく皆で踊りながら、この平和を満喫しよう。

そしてこの平和を永遠に守ろう。

女性司会者が先導するそんな思いに、生徒のみなさんは応えてくれました。

 

楽しかった首里高校芸術鑑賞会。

このような機会を設けてくださったご担当のT先生のきめ細やかなご高配や、公務で午後から出張となり、鑑賞がかなわないことを残念がっておられた尊敬するI先生。

両先生方の思いと私たちの思いを、生徒のみなさんは心の奥深く受け止めてくれましたよ。

とても嬉しい公演でした。

もちろん首里高校の多くの先生方や保護者の方々にも心から御礼申し上げます。

そしてありがとう、ほんとうにありがとう首里高校のみなさん!

 

ところでこのブログを発見してくださった方は、ぜひ公演の感想や印象を書き込んでくださいね。

生徒のみなさんの率直なご意見を教科書に、私たちも日々勉強しますから。

また㈱雅夢のフェイスブックもご参照ください。

それではまたお会いしましょう。

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