芸術鑑賞会・岐阜聖徳学園高校のみなさん、ありがとう!
2019年02月21日
その電話は残暑が未だ厳しい昨年の8月29日にかかってきました。
「はじめまして…。 今、学内の投票ではガムさんの作品の人気が一番です。 つきましては来年2月8日(金)の公演をお願いしても大丈夫ですか。 ただし学校式典行事と重なるので、準備、撤収などいろいろと制約があるのですが…。 それに時期的に雪が降るかもしれませんし、遠いですけど九州からお出でいただけますか?…。」
快活な女性の先生のお声を聞きながら、慌ててメモを走らせつつ、私たちはこみ上げる嬉しさに戸惑っていました。
未知の学校からの突然のお電話。
それも知らないところでガムの評価がされている事実に、私たちの方針は間違っていないと確信したし、またしても私どものメッセージがこの公演の特徴として浮かび上がってきたのだから、こんなに嬉しいことはなかったのです。
ご担当のT先生には、一両日のご猶予をいただき、さっそく舞台進行者のGに制約の部分について相談し、同じく女性司会者のMにも相談した。
信頼する出演者のDやCにも相談した。
皆さんの答えは
「行きましょう。やりましょう。」
という力強いものだった。
こうして前日2月7日、私たちは北九州を出発したのです。
行く先は、まむしの道三、織田信長で有名な美濃の国・岐阜市。
お電話をくださったのは岐阜聖徳学園高等学校。
会場は長良川国際会議場メインホールでした。
オファーいただいた学校法人聖徳学園は、幼稚園から、小、中、高校、大学まで擁する岐阜の名門校。
お釈迦様の教えを大切にし、お互いを尊重し、個性を認め、人のために行動できる、そんな生徒の育成を目指しています。
さて新幹線組と分れ、車で向かったスタッフは、北九州から岐阜まで高速道路で休憩を含め約8時間の行程でした。
この公演の仕事で京都までは車で走ったことはありますがその先は未知の領域。
ということは、わくわく、どきどき、興味津々の行程だったのです。
前日夕刻から仕込みで訪れた長良川国際会議場はとても立派な会場。
仕込み作業を続けながら、私たちはご担当のT先生やO先生と、アテンドする式典の手はずを確認しました。
ご担当のT先生は、明るくて、前向きでご親切、とても素敵な先生でした。
式典は「涅槃会の集い」。
お釈迦様が亡くなられた日を偲ぶ会でした。
いわゆる「諸行無常の教え」を弟子たちに悟して生涯を終えたお釈迦様の教えを再認識しながら、自己を振り返り、静かに手を合わせて、自分自身を見つめ直すもの。
定刻にスタートした涅槃会の集いは粛々として厳かなものでした。
舞台中央に祭壇がおかれ、下手で女生徒の讃歌が美しく流れます。
説話に引き続き、生徒代表による献花やローソクの灯りが捧げられます。
「礼拝」「合掌」の静かな声音が心に響くようでした。
やがて9時25分、厳粛な式典は終わり15分の休憩を経て9時40分開演となりました。
わずか15分の間に舞台の転換と準備をしなければなりませんが、そこは手慣れたもの。
舞台進行者Gの的確な指示のもと、各自が持ち場を再点検、スタンバイしました。
そして開演。
いつもはオープニングに先立つSC(Sound Effect)の段階で手拍子が沸くこともあるのですが今回はいたって静か。
お釈迦様の教えである、自己の利益よりも、他者の利益を優先する考え方が浸透している生徒のみなさんは、これから始まる中国人出演者の登場を静かにひたすら待っていてくれたようです。
その証拠に、SCの後登場した女性司会者、そしてオープニング演目の開始に向け、生徒のみなさんの熱気が拍手となって段々と津波のように押し寄せました。
自分が楽しければいいといった利己主義でない”やさしさ”が岐阜聖徳学園の生徒のみなさんにはありましたね。
演目がマックスに高まったのはダブルでお見せした変面。
客席になだれ込んだ変面の妙技に笑顔と歓声の津波は最高潮。
一転してメッセージのコーナーでは、波打ったように静かな客席となり、生徒のみなさんは私たちの思いを真剣に受け留めてくれました。
実にメリハリの利いた生徒のみなさんの対応でした。
こんなこともありました。
ラストの演目で世界チャンピオンを自他ともに認める出演者が、なんと技の流れの中で、通常ではありえないミスをしたのです。
人間のやることですからミスはつきものとはいえ意外でした。
それもそのはず、実は彼は2日前に中国から日本に帰ってきたのです。
折からの春節。
家族や友人と楽しい再会を果たし、美味しいものを食べ、当然練習はおろそかになっていました。
公演当日、楽屋の通路で真剣に練習する彼の姿を見ていましたが、その目はまるで鬼のようでした。
中国雑技の演目は世界チャンピオンといえども練習を怠ればピンチを招くのです。
本番でありえないミスをしたものの、やり直して挽回し、最後は大技をみごと決めましたが、それは今までの貯金があったから。
終演後、照れくさそうにペコリと頭を下げた彼に、私たちは親指を立てて微笑みました。
冬晴れの一日。
織田信長公の像が暖かく迎えてくれた岐阜市でした。
楽しかった岐阜聖徳学園高等学校芸術鑑賞会。
このような機会を設けてくださったご担当のT先生やO先生、そして楽屋までお越しくださりご丁寧にご挨拶を頂戴したご親切なH校長先生をはじめ、多くの先生方や保護者の方々に心から御礼申し上げます。
そしてありがとう、ほんとうにありがとう岐阜聖徳学園高等学校のみなさん!
ところでこのブログを発見してくださった方は、ぜひ公演の感想や印象を書き込んでくださいね。
生徒のみなさんの率直なご意見を教科書に、私たちも日々勉強しますから。
また㈱雅夢のフェイスブックもご参照ください。
この道一筋、まっすぐ、雅夢(がむ)しゃらに。
それではまたお会いしましょう。
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