株式会社 雅夢

2016年01月29日

ベッドに入りまどろみだしたころ、突然けたたましく電話の音が鳴りだした。

時計を見ると２３時２５分。静まり返った真夜中は、音量を小さくしていても、電話音は鳴り響き渡るもので、不安な気持ちを掻き立てられる。

「なんだよ、何かあったのかな。」

慌てて取った受話器からは“ピーッ、ピーッ”という音、ＦＡＸである。

「間違い送信か、勘弁してよ。」 気を取り直してベッドに入るやいなや、また電話の音。 「いい加減にしろよな、まったく。」

間違い電話、いや間違いＦＡＸの信号音は計６回続いた。

「やれ、やれ、参ったなあ。」

目は冴えわたり、枕元の本をめくりながら考えた。 でもこの時間まで仕事しているんだ。頑張っているんだ。まあ仕方ないか。しかしこの間違いＦＡＸは何とかならないのだろうか。そういえば会社でも突然横柄に、見知らぬＦＡＸが送信されてくるし、これも困ったことなんだよね。

 

顔が見えない、声が聞こえない、まったく心当たりがない送信元からのＦＡＸは、さしずめ秘かに忍び込むまるで情報の侵入者かも。そんな情報いらねーよ。

そして翌日、帰宅してみると、午前１０時からまた続けて同じ発信番号の間違いＦＡＸ信号が入っていた。

「つまり発信者は出社して、１０時にＦＡＸの不通に気付き、また送信したんだな。間抜けな奴だ。送信先番号を確認しろよ、確認。」

調べてみると、発信元は０９２から始まる市外局番だから福岡市周辺。 仕事を一生懸命頑張っているのは認めるから、せめて送信先の間違いに気づいたら、「一言、ゴメン」と言えよな。その場合は声が聞こえる電話でいいからさ。  ともあれお互いに確認、確認。気を付けましょうね、ご同輩。