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芸術鑑賞・熊本北高校のみなさん、ありがとう!

2016年10月12日

10月7日(金)朝、台風18号も過ぎ去り、私たちは車で快適に九州道を南下しました。

この日は熊本北高校の芸術鑑賞でした。熊本北高校は、現熊本市長である大西市長の出身校、市北部に位置する名門校です。

先月開催した北九州市の高稜高校と同じく、熊本北高校も平成22年が初演ですから、6年ぶり2回目の上演となります。

今回のご担当はH先生。

H先生といえば、九州吹奏楽連盟の副理事長を務め、熊本県吹奏楽連盟の理事長もなさっている重鎮。

8月に福岡サンパレスで行われた第61回九州吹奏楽コンクール<高等学校の部>で、堂々と熊本北高校を金賞へ導いた方でもあるのです。

それだけに音楽に対する造詣は深く、また雑技をはじめとする中国やアジアの芸術にも幅広い知識をお持ちの方です。

このH先生との打ち合わせの際、私たちは無謀?にも、プログラムに「”草原のチェロ”馬頭琴の演奏」を組み入れる提案をしました。

演目は「中国文化芸術夢公演」。

つまり中国雑技にモンゴル馬頭琴をコラボさせたのです。

この提案に、音楽のプロであるH先生は「おもしろい」と賛同してくださいました。

 

推薦した馬頭琴奏者は私たちの秘蔵っ子というべき存在。

モンゴルから来日し、北九州の大学の日本語別科で1年間語学留学を始めたころ、その大学の関係者 から、「別科に素晴らしい馬頭琴演奏家がいるよ」との情報を得ました。

さっそくその大学関係者の紹介を受けて彼に会い、その演奏を聴いて、すぐに私たちはゴーサインを出しました。

それほど彼の演奏はすばらしく、何より20代前半というのに彼にはすでに「風格」があったのです。

この若者を育てて ゆこう、彼を一流の演奏家にしよう、そう私たちは決めました。

その後、彼は日本の文化や生活習慣をよく学びました。

そして一層上の高みをめざしてたゆまぬ努力を重ねました。

今では福岡県、熊本県はおろか、九州で大活躍し、時にはオファーを受けて東京の演奏会に行くまでになりました。

4月には熊本県山鹿市の国指定重要文化財である八千代座でリサイタルをしています。

また6月には菊池市の菊池夢美術館で開催された「熊本負けんばい・ 絵手紙展」のチャリティーとしてコンサートをしています。

その間、熊本のテレビ局に生放送出演するなど、熊本で市民に振り返られる存在になりました。

いわばエラくなった彼ですが、私たちに対する態度は変わりません。

「私を見つけ、育ててくれた。モンゴル人は恩義を忘れない。」

彼の口癖です。

 

余談ですが、彼は熊本の火の山・阿蘇山の草原が大好きです。

故郷モンゴルの草原を彷彿とさせるのでしょう。

「日本で演奏頑張って、阿蘇の麓の土地を買い、ヒツジを放牧する。」

これが彼の夢なのです。おおらかな好青年なのですよ。

 

そんな彼を迎えたこのたびの芸術鑑賞で、熊本北高校の生徒のみなさんは、草原を流れる風のような音色の馬頭琴に郷愁を覚え、彼の絞り出す笛のようなホーミーの歌声に驚きと称賛の大きな拍手をくれました。

とくにホーミーの体験で舞台に上がった男子生徒2名は真剣に取り組んでいました。

何事にも真剣に取り組む、熊本北高校の生徒のみなさんの熱意を感じましたね。

 

ところで公演は中国文化芸術夢公演ですから、当然中国雑技のオンパレード。

いつものように会場は拍手と歓声で盛り上がります。

今回のプログラムでは3番目の水流星、これは器の両端にヒモをつけて、豪快に振り回すスピーディーアクロバットなのですが、このテンポ良い演目の後に馬頭琴演奏をもってきました。

開演してから徐々に生徒のみなさんのテンションが上がりだしたのに、あえて場内が鎮まるかもしれないような楽器演奏をもってきたのです。

「もし眠くなるのだったら、居眠りしてもいいですよ。」

これは私たちの自信。

拍手が収まり、靜かな雰囲気の中から演奏が始まると、案の定というか、思惑通りというか、生徒のみなさんの耳がそばたち、姿勢が前倒しになってきました。

熊本北高校の生徒のみなさんは、メリハリの利いた鑑賞態度を備えています。

最初のワンフレーズを聴いただけで、演奏家の実力を感じ取ったのかもしれません。

時に侘しく、時に力強い馬頭琴の響きはこうして冴えわたりました。

H先生の「おもしろい」との解釈は、こういうシチュエーションを的確にとらえていたのですね。

深い感動を残した馬頭琴演奏の後は、お待ちかね中国雑技のプログラムに戻ります。

今度は軽いノリの「コマ回し」で生徒のみなさんと笑顔の交流をしました。

 

終演後、女子生徒のみなさんが撤収作業を手伝ってくれました。

興味深く機材を見つめ、さわり、「これ運びますか?」と問いかける彼女たちにスタッフは煽られ、おたおたしながらも笑顔で応えていましたよ。

また楽屋口では10人ぐらいの女子生徒のみまさんが若い女性出演者を取り囲んでいました。

この出演者は20歳。

昨年3か月ほど初来日し、今年3月から再度日本に来ました。

日本に溶け込もうと一生懸命日本語を勉強している努力家です。

驚くほど日本語の上達が早い彼女に訊いたことがあります。

彼女は、彼女風の日本語で言うと、

「日本語覚えたい。勉強する。話してみる。間違う、恥ずかしい。でも間違いを覚えた。また話す。通じた。嬉しい。絶対忘れない。日本人親切。わたし、頑張ります。」

そんな彼女が完ぺきに覚え、話せる言葉は、 「ありがとうございます。」だった。 「私たちも頑張ろう。」

この交流で、彼女を取り囲んだ女生徒のみなさんの心に、新たなやる気が芽生えたような気がしました。

 

楽しかった熊本北高等学校芸術鑑賞会。

このような機会を設けてくださったご担当のH先生を始め、多くの先生方や保護者の方々に心から御礼申し上げます。

そしてありがとう、ほんとうにありがとう熊本北高校のみなさん!

 

ところでこのブログを発見してくださった方は、ぜひ公演の感想や印象を書き込んでくださいね。生徒のみなさんの率直なご意見を教科書に、私たちも日々勉強しますから。

それではまたお会いしましょう。

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